東京都内飲食店の厨房・床清掃事例|施工報告書兼作業手順書
2026年1月、東京都内の飲食店にて、営業時間外の22:00〜24:00で厨房全体と店内床を中心に清掃を実施しました。
対象はグリストラップ、グリストラップとシンクをつなぐ溝(網掛かり部)、シンク、ステンレス台、レンジフード(プロペラ部を含む)、窓、ホールの手が届きにくい壁、そして店内フローリング床です。
一方でエアコンは直近で清掃済みとのことだったため、今回は「やらない判断」を明確にし、限られた夜間枠を厨房と床に集中させました。
床洗浄は「除塵→洗浄→汚水回収→水拭き複数回→乾燥」の順守が品質の要であり、公共仕様でもこの流れが整理されています。
この記事で伝えることは、飲食店の厨房清掃で“どこをどう攻めると結果が出るか”を、現場の判断理由と工程設計として言語化することです。
誰に役立つかは、飲食店オーナー・店長・店舗管理担当者、そして夜間の厨房清掃を外注したいが「何を頼むべきか」迷っている方です。
油汚れやグリストラップのように、放置すると詰まりや悪臭、衛生面の不安につながる箇所は、闇雲に強い薬剤を使うのではなく、素材と安全を守りながら合理的に落とす必要があります。
依頼背景と現地調査で確認したこと
ご相談の背景は「店舗全体を清掃したいが、厨房が特に気になる」というものでした。
具体的には、グリストラップ清掃、グリストラップとシンクをつなぐ溝の内部清掃(網を外して中まで)、シンクの汚れが強ければ清掃、そして汚れが見える箇所を含めた厨房全体のリセットがご希望でした。
油は排水管の詰まり要因になりやすく、グリストラップは厨房排水中の油分を分離する目的で設置されるため、機能させるには定期的な清掃が前提になります。
現地調査では、汚れの“質”を先に分解しました。
ステンレス台は黄色い油膜の固着に加えて、焦げた食材の付着と点錆が混在しており、拭くだけでは伸びる典型パターンでした。
レンジフードはプロペラ部が黄ばみ、黒い粉塵が粘着していたため、濡らす前に乾いた除塵を入れないと汚れが泥化して再付着します。
グリストラップ内部は黒いカビ状のぬめりと汚水が溜まった状態で、ここは“見た目”よりも、回収と廃棄の取り扱いを間違えないことが重要だと判断しました。
リスク評価として重視したのは、転倒と化学物質の二点です。
飲食店の転倒災害は「滑り」が多く、その半数が水や油で床が濡れていたことに起因すると整理されています。
また、厨房の油汚れはアルカリ性洗浄剤が効きやすい一方で、上部洗浄時に薬剤が垂れて皮膚障害を起こした事例なども示されており、SDS確認と保護具は必須と判断しました。
段取りと準備
夜間作業の段取りは、時間よりも「戻り汚れを出さない流れ」を優先しました。
限られた2時間枠では、焦って洗い始めると汚水回収とすすぎが薄くなり、翌日に黒ずみが戻ります。
そのため、厨房は上から下へ、床は奥から手前へ、汚水はその場で回収し、乾燥状態で完了する順番に固定しました。
床洗浄で汚水除去後に2回以上の水拭きを行い、洗剤分を除去してから乾燥させる工程が仕様として示されています。
使用資機材は、強力なものを増やすより“回収する道具”を充実させました。
具体的には、ウェットバキューム、床用スクイジー、マイクロファイバークロス、厨房用ブラシ、手パッド、養生材、照度を補うLEDライトです。
薬剤は中性を基本に、油の層が厚い箇所のみアルカリ寄りを検討する方針とし、必ずSDSを確認して危険性・応急措置・必要保護具をチーム内で共有しました。
近隣と店舗への配慮として、音が出やすい工程(フード部品の脱着、バキュームの連続運転)は短時間で区切り、床の濡れは区域を区切って段階的に進めました。
転倒対策として、濡れ床は即拭き取り、洗浄中は立入を制限する考え方が示されているため、店内動線には注意喚起の表示を使い、作業員自身も急がない運用を徹底しました。
作業手順と時間配分
全体の作業構成は、厨房(グリストラップ→溝→シンク・ステンレス台→レンジフード)を先に終わらせ、最後に床と窓・壁をまとめて仕上げる流れにしました。
理由は単純で、油汚れを先に落とすほど床に落ちる二次汚れが減り、床の仕上げ品質が安定するからです。
特に床は「最後にやる」のが一番合理的で、仕様書でも什器移動や除塵など前工程のあとに洗浄へ入る流れが整理されています。
グリストラップ清掃は、フタと網を外し、固形物と浮上油を先に回収してから洗浄に入りました。
グリストラップは油脂分離のための設備で、適正管理が求められており、バスケット(受カゴ)の清掃は少なくとも1日1回、沈殿物は週1回以上などの考え方が示されています。
ここで私たちが特に気を付けたのは、回収物をむやみに流さないことです。
排水槽や厨房系排水の汚泥等は廃棄物区分に応じて適正処理が必要で、許可業者への委託やマニフェスト保管が必要とされる旨が東京都の資料でも整理されています。
シンク・ステンレス台は、油層を“浮かせてから拭く”ことに集中しました。
ステンレスは汚れがひどい場合に中性洗剤を含ませた布で拭いた後、水拭きし、最後に乾拭きで水分を残さない方法が推奨され、磨き粉やタワシなど研磨性のある道具は避ける注意が示されています。
焦げ付きは無理に削らず、洗剤を含ませたウエスで湿布気味に置いてから、手パッドで最小限の力で落としました。
結果として、黄ばんでいた台が白い照明をきれいに反射するくらいまで戻り、錆のにじみも目立たない状態になりました。
レンジフード(プロペラ部)は、まず電源遮断と落下防止の確認から入りました。
分解できる範囲で部品を外し、油は温度で落ちやすくなるため40〜50℃程度の湯と中性洗剤で浸け置きし、最後は水拭き・乾拭きで洗剤分と水分を残さない仕上げにしています。
油汚れにアルカリが効く場面はありますが、強アルカリは皮膚障害や眼障害のリスクがあり、SDSでも保護手袋・保護眼鏡等の着用が明記されています。
今回は短時間枠でも仕上がりを出すため、薬剤を強くするより“浸け置き+すすぎ+乾燥”を丁寧にし、黄ばみと粉塵の密着を抜きました。
床清掃は、厨房と客席でやり方を切り替えました。
客席側はフローリングで黒ずみが出ていたため、除塵後に洗剤を薄めて塗布し、パッドで摩擦をかけ、汚水回収→2回以上の水拭き→乾燥で仕上げました。
厨房側は濡れが残ると危険なので、広げて洗うのではなく、狭い範囲ごとに洗って即回収し、乾燥を確認して次へ移る“区画洗浄”で進めました。
清掃後、店内床の黒ずみは緩和され、入口から見たときの沈み感が軽くなったのが分かります。
ホール壁と窓は、普段手が届かない高さを優先して除塵から入りました。
壁は白い面と茶色の木部が混在していたため、まず乾いた粉塵を落としてから中性洗剤を含ませたウエスで軽く拭き、水拭き・乾拭きで仕上げました。
窓は砂埃が乗っていたので、乾拭きで擦らず、濡らして浮かせてから回収し、拭き筋が残らない角度で最終チェックしました。
品質確認・想定外対応・お客様立会い
品質確認の基準は、見た目以上に「安全と戻り汚れが出ない状態」です。
床は乾燥が完了していること、洗剤分が残って滑りやすくなっていないことを最優先で確認しました。
厨房はステンレス面の拭き筋、フード部の粉塵残り、グリストラップ周辺の臭気残りをチェックし、必要に応じて“その場でワン工程戻す”運用を徹底しました。
想定外への対応として多かったのは、油が固着して「洗剤を塗っただけでは動かない層」があったことです。
ここで薬剤を一段強くする誘惑はありますが、アルカリ性洗浄剤の飛散で皮膚障害を起こした事例も示されているため、まずは浸け置きと物理回収で層を薄くし、安全側で落とし切りました。
また、溝の網が固く外れにくい箇所は、無理にこじらず工具を変え、変形させずに復旧することを優先しています。
お客様立会いでは、厨房のステンレス台、レンジフードのプロペラ部、グリストラップ内部、床の動線を順に一緒に確認しました。
特に床は、濡れが残っていないことを触って確認していただき、転倒リスクがない状態で引き渡しました。
「短い時間でもここまで変わるなら、もっと早く頼めばよかった」というお言葉をいただき、こちらとしても工程の切り方が間違っていなかったと感じました。
メンテナンス提案・コスト目安・まとめ
作業後のメンテナンス提案は、現場を“きれいにする”より“戻さない”を中心にお伝えしました。
グリストラップは受カゴの回収を日次、沈殿物や浮上油を週次で管理する考え方が示されており、ここを守るだけで詰まりや悪臭の確率が下がります。
あわせて、回収物は廃棄物区分に応じて許可業者へ委託し、必要に応じてマニフェストを保管する運用が望ましい点も共有しました。
床の安全管理としては、4S(整理・整頓・清掃・清潔)を軸に、濡れたら即拭く、洗浄中は立入禁止、滑りにくい靴やマットの活用を提案しました。
飲食店の転倒は休業が長引くケースもあるため、清掃はコストではなく“事故を減らす投資”として考えるのが合理的です。
コスト感の目安は、厨房(グリストラップ含む)+床+簡易拭き上げを夜間2時間で実施する場合、店舗規模と汚れの強さにより幅はありますが、概ね5万〜12万円程度が現実的なレンジです。
ただし、グリストラップの回収物を産廃処理業者へ委託する場合は別途費用が発生し得るため、ここは事前に役割分担(当社で回収・保管までか、処分手配まで含むか)を整理するのがトラブル防止になります。
その結果わかったことは、飲食店の厨房清掃は「強い薬剤で一気に落とす」よりも、除塵と回収、すすぎと乾燥を丁寧に積み上げた方が、短時間でも仕上がりが安定するという点です。
学べたことは、エアコンのように“今回は不要”な工程を明確に外し、限られた夜間枠を厨房と床に集中させることで、費用対効果を最大化できるということでした。
Kirei Oneは、言われたからと不要なものも含めて全部対応するのではなく、ゴールから逆算して「やる/やらない」を判断しご提案。お客様の判断負担を引き受けることが価値だと改めて感じました。