リビング無垢フローリング ウレタン塗装補修工事 作業報告書
現場調査とウレタン塗膜の劣化確認
東京都内にある築15年の一般住宅リビングルームにて、無垢フローリングの補修塗装工事を実施しました。まず現場調査を行い、フローリング表面のウレタン塗膜劣化状況を確認しました。日常の歩行や直射日光による色あせでフローリングの艶が失われ、部分的に塗膜の剥離や小傷が見受けられました。
幸い大きな損傷や下地まで及ぶ深い傷はなく、再塗装による補修が可能と判断しました。作業開始に先立ち、家具の移動と周辺養生(壁際への養生テープ貼付やビニールシートでの覆い)を行い、作業環境を整えました。
表面洗浄と既存ウレタン塗膜の研磨除去
既存のウレタン塗膜を完全に除去するため、表面の洗浄および研磨作業を丁寧に行いました。最初にフローリング全体を掃き掃除とモップ拭きで清掃し、砂埃や汚れを除去します。汚れを除くことで研磨中の不要な擦り傷を防ぎ、作業精度を高めます。
その後、床研磨機(ポリッシャー)とサンドペーパーを用いて古い塗膜を研磨しました。研磨は中目から始め、徐々に細かい番手へと段階的に行い、フローリング表面の古いウレタン塗膜を余すところなく削り取ります。特に色むら防止のため、板材一枚一枚をムラなく均一に研磨し、隅や壁際の細部も手作業で入念に処理しました。補修作業では、完了後に光の当たり具合や気温変化によって数日後にムラや色違いが現れる場合もあるため、そうした不具合を起こさないよう慎重に既存塗膜を除去しています。
研磨作業中は集塵機能付きの機材を活用し、粉塵の飛散を抑制して安全に配慮しました。研磨後、床全体を真新しい木肌が現れた状態にし、次工程の下地調整に移ります。
下地調整(極細目ペーパー・コンディショナー処理)
古い塗膜を除去し素地が露出した後、塗装下地を整えるための調整作業を行いました。まず、極細目のサンドペーパー(♯320程度)で木材表面全体を平滑に研磨し、木目の凹凸や毛羽立ちを取り除きます。この仕上げ研磨により塗料の食いつきを良くするとともに、塗装面の均一化を図りました。次に、木部用コンディショナー(下地調整剤)を床全面に塗布しています。コンディショナーは木材の内部に適度に浸透し、いわば「目止め」の役割を果たす工程です。
これにより床材が塗料を不均一に吸い込みすぎるのを防ぎ、仕上げ塗装面にムラが出ないようにします。また下塗り処理として塗料の密着性も高め、後のウレタン塗装が剥がれにくく耐久性の高いものとなるよう下地を調整しました。コンディショナー塗布後は十分に乾燥時間を置き、木材内部への浸透と揮発を待ってから塗装工程に移行します。
ウレタン塗装(木目に沿った薄塗り2回塗布)
下地処理完了後、無垢フローリングへのウレタン塗装を2回に分けて実施しました。使用した塗料は床用の透明ウレタンニスで、既存のフローリング色調に合わせた半艶タイプを選定しています。塗装1回目は刷毛を用い、木目に沿って薄く均一に塗布しました。塗料を一度に厚く塗りすぎないよう注意し、刷毛先に含ませる塗料量を調整しながら作業しています(塗料を出しすぎると溜まり、少なすぎると刷毛ムラの原因となるためです。リビング全体を塗り終えた後は、塗膜表面が指触乾燥するまで十分な時間乾燥させました。適温(約20℃)で1〜3時間程度で表面乾燥する塗料ですが、強度が出るまで触れないよう注意しながら乾燥を待っています。
初回塗布分が完全に乾燥した後、目視および手触りで塗膜状態を確認しました。ざらつきや気泡の跡が僅かに感じられる箇所は、♯400相当の極細サンドペーパーで再研磨し、表面を滑らかに整えています。研磨後は塗布したウレタン塗膜を傷めない中性洗剤希釈液で軽く拭き取り、塵埃を除去しました。そして塗装2回目を実施します。2回目も1回目同様に薄くムラなく刷毛塗りし、特に塗り残しや塗りムラが出ないよう細心の注意を払いました。
最終塗布後、均一で美しい艶感のウレタン塗膜がフローリング全面に形成されたことを確認しています。
乾燥・養生(温湿度管理と換気)
ウレタン塗装後は、塗膜の乾燥・硬化期間を設け、適切な養生管理を行いました。塗装直後から数日にわたり、作業空間の温度と湿度を管理します。塗料の乾燥には環境条件が大きく影響するため、施工日は晴天で外気湿度が低めの日を選定しました。室内ではエアコンと除湿機を活用し、室温20~25℃前後・湿度50~60%程度の環境を維持しています。
湿度が高い状態では塗料が乾きにくく仕上がりにムラが出たり塗膜剥離の原因になるため、必要に応じて換気と除湿を行い塗装環境を最適化しました。窓を開放して風通しを良くしつつも、強風で埃が舞い込まないよう網戸と送風機で穏やかな換気にとどめています。また、乾燥期間中は立ち入り禁止措置を取り、施工箇所をシートで覆って他の作業や人の動線から保護しました。
表面乾燥後も内部まで完全乾燥するまで約1週間程度は必要なため、施工後しばらくは重い家具の設置や過度な荷重がかからないようお客様にも協力いただきました。適切な養生期間を確保したことで、塗膜硬化不良によるベタつきや跡残りもなく良好な仕上がりとなりました。
最終仕上げ(ワックス塗布による艶出し)
ウレタン塗膜の十分な乾燥を確認後、仕上げにフローリング全体へワックスを塗布しました。ワックスは木床用の透明タイプを選び、表面に薄く均一に塗り広げてから乾拭きで余分を拭き取り、ムラのない光沢を出しています。ワックス塗布後、フローリングが均一な艶を取り戻した様子です。 写真からも施工前と比べて床面が艶やかになっているのがわかります。ワックスがけによって見違えるような光沢が得られただけでなく、表面に保護膜が形成されました。ワックスには撥水効果があり、汚れが付着しにくくなる利点もあります。
ウレタン塗装されたフローリング自体も強固な塗膜を持っていますが、ワックスを重ねることで艶出しと日常メンテナンス性の向上を図っています。最終的に床全面を乾拭きし、均一なテカリ具合になるよう仕上げました。照明の映り込み具合を角度を変えて確認し、塗り残しや艶ムラがないことをチェックしています。
補修前後の効果確認と違和感のない仕上がり
施工完了後、補修前と補修後のフローリング状態を比較・確認しました。補修前は光沢を失い全体にくすんだ印象でしたが、補修後の床面は新品同様の美しい艶が蘇りました。色合いも既存部分と補修部分との差異がなく、違和感のない仕上がりです。もともと生活傷で白っぽくなっていた箇所や日焼けで色が変わっていた箇所も、再研磨と再塗装によって木目の美しさがはっきりと現れています。
横から照明の反射を確認したところ、塗膜表面は平滑で輝きが均一に行き渡っていました。ウレタン塗装とワックス仕上げの相乗効果で、フローリング全体がしっとりとした深みのある艶に包まれています。お客様にも最終確認いただき、「まるで新築時のような床の輝きが戻った」とご満足の声を頂戴しました。施工範囲と既存の境界も分からないほど自然な仕上がりとなり、リビング全体の景観が向上しています。