東京都のマンション和室の木部アク抜き洗浄事例
東京都内の築40年以上経過したマンション和室にて、木部アク抜き洗浄(灰汁洗い)を実施しました。
この記事では、古い木部をプロの技術で明るく蘇らせる施工手順や使用薬剤、養生のコツなどを現場目線で詳しく解説します。
和室のリフォーム後に木部の黒ずみが気になる方や、築年数の経った住居の木材を綺麗に保ちたいとお考えの方にとって、参考になる施工事例です。
ご依頼内容と現地調査
お客様から「和室をリフォームしたものの、木部だけ古びて見える」とご相談をいただき、現地調査に伺いました。築40年以上のマンション一室ですが、リフォーム済みで壁や畳など室内は新しくなっていました。
一方で、窓枠・障子枠、襖(ふすま)の縁、押入れ戸の枠、廻り縁や長押といった木部は経年の黒ずみで古びた印象のままでした。
私たちは、和室に見える木部すべてに灰汁洗いを施せば明るさを取り戻せると判断し、ご提案いたしました。
その場で施工内容をご説明し、ご納得いただけたため正式にご依頼となりました。
見積もりと事前準備
現地での情報をもとに、作業内容と費用を算出しました。今回は専用薬剤を使ったつけ置き洗浄(最大30分浸け置きを2回まで)で木部のアクを抜く計画です。
ただ、長年染み込んだ汚れは完全に落としきれない場合があるため、その旨を事前にお客様にお伝えしています。
作業は2名体制で、9時から開始し、16時前後の完了を想定しました。
工程ごとの所要時間は以下の通りです。
- 養生・準備作業:約1時間
- 薬剤塗布および拭き取り(室内四方×30分×2回):約4時間
- 落としきれない箇所の追加洗浄:約1時間
- 片付け・仕上げ清掃:約1時間
合計で約7時間を見込み、余裕を持ったスケジュールとしました。
状況次第では15時頃に作業完了できると見込み、この内容をお見積書に反映しました。
作業当日の流れ
当日は9時前にスタッフ2名で現地入りし、まず室内の状況を再確認しました。作業手順と役割分担を打ち合わせた上で、養生資材や薬剤などを搬入しました。
木部に薬剤を塗布するため、万が一垂れても畳を汚さないよう、畳全面にビニールシートを二重に養生しました。
次に、木部の周囲をマスキングテープで覆い、特に壁紙(ビニールクロス)への薬剤付着を防ぎました。
天井近くの梁を作業する際は四尺脚立を使用するため、畳に傷や跡を残さないよう脚立用のソックスを脚に装着しました。
養生とマスキングが完了した段階で、薬剤が垂れたり作業箇所外に付着しないか、2名で最終確認を行いました。
現場担当コメント:「最初の養生を丁寧にしておけば、床や壁を傷つける心配もないし、作業中も安心です。
現場では、始めのひと手間が後々の仕上がりを左右するんです!」
薬剤は取っ手付きの計量カップに入れ、梁や枠の木目に沿ってハケでたっぷり塗布していきました。
当初は塗布後20分ほど置いてから拭き取る予定でしたが、実際には乾燥が早かったため途中から10分程度で拭き取りに変更しました。
現場担当コメント:「状況に応じて柔軟に方法を変えるのもプロの判断です。今回は薬剤の乾きが思ったより早かったため、放置時間を短縮して対応しました。」
塗布担当1名・拭き取り担当1名で時間差をつけながら作業を進め、和室全体を2巡施工しました。
拭き取り用の水は1巡目の途中で一度交換し、2巡目まで終えた段階でちょうど13時頃となったため、一旦昼休憩を取りました。
休憩後、木部全体は作業前より明るく清潔な印象になっていました。
ただ、日光が強く当たる部分の木材には黒ずみがわずかに残っていました。
そこで薬剤を変えて追加洗浄を行いましたが、長年の日焼けによる変色は完全には消えませんでした。
清掃後の仕上がり
全体として木部は見違えるほど明るくなり 薬剤の垂れ落ちや飛散といったトラブルもなく、事前の綿密な打ち合わせと相互確認が功を奏した結果だと感じました。後日、お客様にも仕上がりをご確認いただき、「きれいになった」と喜んでくださいました。
お客様の笑顔を拝見し、私たちもホッとすると同時に大きなやりがいを感じることができました。
本記事では、東京都マンション和室における木部アク抜き洗浄(灰汁洗い)の工程を現場目線で詳細に解説しました。
古い木材に染み付いたアク汚れも、プロの洗浄によってここまで改善できることがお分かりいただけたかと思います。
また、事前の養生・段取りの徹底や、現場での臨機応変な対応が仕上がりの品質に直結することも改めて実感しました。