有料老人ホームのエアコン清掃(分解洗浄)施工事例

2025/10/31

東京都の有料老人ホームのエアコン清掃(分解洗浄)施工事例

2025年6月、首都圏にある有料老人ホームの共用部にて、エアコン室内機の分解洗浄清掃を実施しました。 この記事では、施設内エアコンの美観と衛生を保つためにプロが実践する分解洗浄手順やコツを現場目線で詳しく解説します。 老人ホームなど介護施設の管理者様にとって、空調設備の清潔と安全を両立するための参考になる施工事例です。

施工概要

作業時間は9:00~18:00と長時間におよび、複数スタッフで協力しながら44台のエアコン清掃を一日で完了しました。 清掃対象となったエアコン室内機の種類と台数は以下のとおりです。

  • 天井埋込カセット型(4方向吹出口): 1台
  • 天井埋込カセット型(2方向吹出口): 11台
  • 天井埋込カセット型(1方向吹出口): 25台
  • 厨房用天井カセット型(2方向・大型): 1台
  • 壁掛型エアコン(ルームエアコン): 6台

共用部の廊下や食堂、談話室から厨房に至るまで、様々な場所に設置された業務用エアコンを徹底的に洗浄しました。 高齢者施設という環境上、空調設備を清潔に保つことは入居者様の健康にも直結します。 そのため、ホコリやカビをしっかり除去し、冷暖房効率を回復させることを念頭に置いて作業に取り組みました。

過去のトラブルと再発防止策

実は今年3月、別の現場で天井埋込型エアコンの清掃後、組立時の配線ミスが原因でドレンポンプとフロートが作動せず、水漏れ事故が発生してしまいました。 同じ過ちを繰り返さないため、今回の清掃では以下の対策を徹底しています。

  • 形状が似たコネクタ類には事前に識別テープを貼り、組立時の配線間違いを防止する
  • 清掃後にドレンパン(排水皿)へ約1リットルの水を注ぎ、ドレンポンプの吸水作動音を確認する
  • 試運転モードで30分以上運転し、エラー表示や異常が出ないか必ず確認する
  • ドレンポンプ本体も分解洗浄し、汚れ詰まりを取り除いて動作不良を予防する

これらを徹底することで、清掃後の組立ミスによる水漏れや運転不良を確実に防止できます。 高齢者施設では万が一の水漏れが建物被害や転倒事故につながりかねないため、細心の注意を払って作業に臨みました。

エアコン分解洗浄の作業手順

  1. 作業前準備と養生: 作業開始前にエアコンの現況を確認し、試運転で風量や異音の有無など動作チェックを行います。 異常がないことを確認したらコンセントを抜き、電源を遮断しました。 また、作業前の状態を記録するため写真撮影を実施し、必要に応じて施設担当者様へ状況を報告します。 エアコン周辺の家具や備品はあらかじめ移動し、移動できない機器や床面はシートで養生して汚れや水濡れから保護しました。
  2. エアコンの分解と部品洗浄: 脚立を使用して天井設置のカセット型エアコンを分解します。 パネル、フィルター、ルーバーなど取り外し可能な部品を慎重に取り外し、高圧洗浄が可能な状態まで内部を開きました。 取り外した部品は別途洗い場へ運び、カビやホコリを洗剤で洗浄します。 特にフィルターや吹出口ルーバーには汚れが蓄積していたため、入念に洗い流しました。
  3. 熱交換器(アルミフィン)の高圧洗浄: 室内機本体にはビニールシートでしっかりと養生を施し、内部に高圧洗浄水が飛び散って周囲を汚さないようにします。 次に、エアコン用洗浄剤を熱交換器全体に噴霧し、しばらく浸透させて汚れを分解しました。 専用の高圧洗浄機を用いてアルミフィン(熱交換器)に付着したホコリやカビを洗い流します。 黒ずんだ汚水が流れ出なくなるまで、洗剤塗布と洗浄を繰り返し行いました。 内部のファンやドレンパンにも高圧洗浄水を当て、蓄積した汚れを徹底的に洗い落とします。 清掃後は熱交換器に残った水分をしっかり切り、養生シートを回収しました。
  4. 部品の組立て復旧: 洗浄した各パーツを十分乾燥させた後、室内機本体へ元通りに組み立てます。 取り外した順序を逆にたどってパネルやフィルター類を取り付け、ネジ類も確実に締め直しました。 特に電装部の配線接続は、あらかじめ貼付した識別テープを参照しながら正しい組み合わせで接続しています。 ドレンポンプ周辺の部品も清掃済みの状態で元に戻し、内部構造を復旧させました。
  5. 作業後の試運転確認: 組立て完了後、再度エアコンに電源を入れて試運転モードで約30分間運転させました。 清掃によって生じたエラーコードが表示されないか、本体から異音がしないかを確認します。 また、ドレンパンに意図的に水を流し、清掃後のドレンポンプが正常に排水することも合わせてチェックしました。 冷房運転では洗浄後のアルミフィンがしっかり冷え、カビ臭さがなく爽やかな風が出ていることをスタッフ全員で確認しました。
  6. 作業後の後片付けと報告: エアコンの動作確認が完了した後、養生していた床シートやビニールを撤去します。 移動させていた備品類を元の位置に戻し、作業箇所の周辺を清掃しました。 最後に作業後の状態を写真撮影し、清掃結果を施設ご担当者様にご報告します。 全ての工具や清掃用具の忘れ物がないことを確認し、現場を退出しました。

本記事では、有料老人ホーム共用部における業務用エアコンの分解洗浄清掃の工程を現場目線で詳述しました。 私たちプロが徹底した配線管理や長時間の試運転確認により、清掃後の水漏れやエラー再発を防止できることを現場で実証しています。 また、エアコン内部の徹底洗浄によって空調効率が向上し、カビ臭さのない清潔な空気環境を取り戻せることも再確認できました。

介護施設において空調設備を清潔に維持することは、入居者様の健康と快適さに直結します。 定期的にプロの手でエアコン清掃を実施することで、衛生環境の改善だけでなく機器の長寿命化や故障防止にもつながるため、施設管理者様には計画的な清掃をご検討いただくことをおすすめします。

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