管理物件でエアコン水漏れトラブルに分解清掃で対応した事例報告

2025/10/24

東京都内の管理物件でエアコン水漏れトラブルに分解清掃で対応した事例報告

東京都内の大手ゼネコン系管理物件にて、2階脱衣所のエアコン水漏れトラブルに対し、室内機の分解清掃を実施しました。
この記事では、管理物件で発生したエアコン水漏れをプロがどのように清掃で解決したか、その手順やポイントを現場目線で詳しく解説します。
建物の設備管理を任されている管理会社の設備管理者やオーナー(大家さん)にとって、エアコン水漏れ清掃の具体的な対応方法が学べる参考事例です。

現場状況とエアコン水漏れの原因

今回ご依頼を受けたのは、東京都内にある大手ゼネコン系列会社が管理する物件です。
2階脱衣所に設置された壁掛けエアコンから水がポタポタと漏れ出し、床が濡れてしまう状態でした。
現地に伺いエアコン本体や周囲の状況を確認したところ、いくつかの原因が判明しました。

  • エアコンのドレンホース(排水ホース)先端がカバーで覆われており、ドレンホースクリーナーなどを使った水抜き作業ができない構造だったこと。
    このためホース内の詰まりを簡単に解消できず、内部に溜まった水が行き場を失い水漏れにつながっていました。
  • エアコンが脱衣室内の収納棚上の奥まった場所に設置されており、本体の上下左右とも約3cm程度の隙間しかない狭い空間だったこと。
    通常よりも通気や放熱が妨げられ、湿気がこもりやすいため、本体周辺で結露が生じて水滴が発生しやすい状態でした。
  • ドレンホース自体が壁の中を通っており清掃時に直接手が届かない経路であること。
    そのため通常の清掃ではドレンホース内部の汚れを物理的に取り除くことが難しく、長期間の使用でホコリや汚れが蓄積し詰まりの原因になっていた可能性があります。

以上のように、ドレンホースの構造的な問題と設置環境の要因が重なり、水漏れトラブルを引き起こしていたと考えられました。
特に管理物件では、入居者からの報告で初めて不具合に気づくケースも多いため、日頃から設備の状態を定期的に点検することの大切さを感じました。

エアコン室内機の分解清掃作業手順

水漏れの根本解決のためには、エアコン内部の汚れを取り除き、排水経路を正常にする必要があります。
そこで私たちは室内機の分解清掃(オーバーホール洗浄)を行うことにしました。
今回の現場には、お掃除機能付き(自動フィルター掃除ロボ付き)のエアコンが合計10台(ダイキン製9台、三菱製1台)と、通常タイプのエアコンが3台(全てダイキン製)設置されていました。
合計13台のエアコンを一日(9:00~17:00)で清掃するため、経験豊富なスタッフ4名で作業にあたりました。
以下、主な清掃作業の手順です。

  1. 事前準備と養生:
    清掃前にエアコンの動作確認を行い、水漏れの状況を再現して原因箇所を特定しました。
    また、作業中に汚水や洗剤が飛び散らないよう、エアコン周辺の壁や床、収納棚にビニールシートやマスカーでしっかり養生を実施します。
    ブレーカーを落として電源を確実に遮断し、安全を確保してから分解作業に取り掛かります。

  2. フィルター・カバーの取り外し:
    エアコン前面のパネルやフィルター、お掃除機能ユニット(ダストボックスやブラシ部分)を丁寧に取り外します。
    ビスや配線の位置を忘れないよう写真を撮り記録しながら、分解できる部品をすべて外していきます。
    お掃除ロボ付きエアコンは部品点数が多いため慎重な分解が必要ですが、経験を積んだスタッフが手順通りに解体しました。

  3. 熱交換器(エバポレータ)とファンの洗浄:
    室内機内部のアルミフィン(熱交換器)やシロッコファンには、長年のホコリやカビがこびり付いていました。
    専用のエアコン洗浄剤を吹き付けて汚れを浮かせ、高圧洗浄機で熱交換器の隅々までしっかり洗い流します。
    シロッコファン(送風ファン)も回転させながら水を当て、溜まった汚れを洗い落としました。
    洗浄時にはエアコン下部に専用の洗浄カバーを取り付け、汚水が飛び散らず回収できるようにしています。

  4. ドレンパン・ドレンホースの清掃:
    エアコン底部にあるドレンパン(排水皿)に溜まった汚れやヌメリをブラシでしっかり擦り落とします。
    次に、ドレンホース内の詰まりを除去するため、室内機側から高圧ポンプで水を流し込みホースを洗浄しました。
    今回は先述の通り屋外側のホース先端が密閉された構造だったため、逆流洗浄によってホース内の汚水を室内機側から吸引回収する方法をとりました。
    詰まりの原因となっていた黒い汚泥が塊で出てきて、ホース内部が綺麗に貫通したことを確認しています。

  5. 取り外した部品の洗浄:
    取り外したフィルターや外装パネル、お掃除ユニットのパーツ類は、建物の浴室をお借りして洗浄しました。
    浴槽にぬるま湯を張り、中性洗剤を加えてパネル類を漬け置きした後、スポンジで隅々まで汚れを落とします。
    フィルターもシャワーでほこりを洗い流し、お掃除ロボのダストボックスも分解して内部のホコリを除去しました。
    洗浄後は水気を拭き取り、乾燥させてから元の場所に戻します。

  6. 組み立てと動作確認:
    清掃が完了したら、室内機を元通りに組み立てます。
    外した部品を所定の位置にネジ留めし、最後にパネル類を閉じて外観を整えました。
    ブレーカーを復旧させ試運転を行い、送風状態と冷房運転で水漏れが再発しないことを確認します。
    全13台のエアコンについて、同様の手順で分解清掃と試運転チェックを実施しました。

作業中の工夫とポイント

今回の作業では、現場の状況に応じていくつか工夫を凝らしています。
特に水漏れが発生していた脱衣所のエアコンについては、狭い設置環境で効率よく清掃を行うための対策が必要でした。

  • 狭所での分解作業:
    エアコン本体の周囲にわずか3cmほどの隙間しかない状態だったため、前面パネルの取り外しに苦労しました。 脚立に乗った作業者が本体を支えつつ、もう一人が手探りでビスを外すなど、二人体制で慎重に取り外しを行いました。 無理に力をかけてパネルを割ってしまわないよう、少しずつ角度を変えながらカバーを外しています。

  • ドレン詰まりへの対処:
    ドレンホースの先端がカバーで塞がれている問題については、屋外に出ている排水口のカバーを一時的に取り外して確認しました。 汚れが詰まっていないか手で触診し、異物があれば除去します。 その上で室内機側から高圧洗浄水を送り込み、ホース内の汚れを押し流しました。 完全に詰まりが解消したことを確認後、元のカバーを戻しています。

  • お掃除機能付きエアコンの扱い:
    自動お掃除機能付きのエアコンは、メーカーごとに内部構造が異なり部品点数も多くなります。 作業前にサービスマニュアルを確認し、分解手順を把握した上で取り掛かりました。 配線コネクタの外し忘れやセンサー類の破損がないよう細心の注意を払い、取り外したネジや部品はトレイに分類して紛失防止しています。

  • 作業人員と段取り:
    今回は4名体制での作業でしたが、台数が多いため効率的な役割分担を行いました。 例えば、2名が順次エアコンの分解と洗浄を担当し、残りの2名が外した部品の洗浄と乾燥を進める、といった流れです。 チームワーク良く進めることで、限られた時間内に全ての台数を完了させることができました。

このように、現場ごとの制約に応じて工夫を凝らすことが、プロの清掃業者としての腕の見せ所と言えます。 作業中にも「なぜ水漏れが起きたのか」「どうすれば再発を防げるか」を常に考え、最善の方法で対応しました。

清掃後の効果と今後の対策

分解清掃の施工後、問題のエアコンからの水漏れは無事に解消しました。
ドレンホースの詰まりが取り除かれたことで排水がスムーズになり、運転中に内部から水があふれることもありません。 清掃後に冷房運転をしばらく継続して様子を見ましたが、床へ落ちる水滴がないことをお客様と共に確認しました。 また、熱交換器やファンの汚れが取れたことで冷房効率も向上し、イヤな臭いも軽減しています。
入居者の方からも「冷房の効きが良くなった気がする」との声をいただき、清掃の効果を実感していただけました。

今回のケースでは、設置環境由来の結露も一因となっていました。
そこで応急処置として、エアコン本体の周囲に断熱材を貼り付けて露点温度を下げる工夫をしています。
長期的には、収納棚の奥に小型の換気扇を設けて空気の流れを作るなど、結露対策を検討いただくよう提案しました。
また、ドレンホース先端のカバーについても、定期的に取り外して清掃するか、詰まりにくい構造のものへ交換することをおすすめしています。

管理物件においてエアコンからの水漏れは、入居者からの苦情にも直結する重要な問題です。
私たちプロとして迅速に原因を特定し適切な清掃を行うことで、建物の被害を最小限に食い止め、入居者の安心・快適な生活につなげることができます。
清掃後にはオーナー様にも状況をご報告し、今後のメンテナンス計画についてアドバイスさせていただきました。

まとめ

本記事では、東京都内の管理物件におけるエアコン水漏れトラブルに対し、室内機の分解清掃で対応した事例を詳しくご紹介しました。
ドレンホースの構造的な問題や設置環境による結露など、複合的な要因で発生した水漏れでしたが、プロの徹底清掃によって無事解決に至っています。
今回の施工を通じて、エアコン水漏れ清掃では原因に応じた的確な処置と細部まで行き届いた清掃が重要であると再認識しました。
建物の設備管理や入居者の快適性維持という観点からも、定期的なエアコン清掃の必要性が改めて浮き彫りになったと言えます。
今後も私たちは現場で培った経験を活かし、管理物件の設備トラブル解決に貢献していきたいと思います。

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