浴室床タイル補修とカビ除去|埼玉県エステサロン・シャワー室のプロ施工事例
埼玉県内のエステサロンにて、シャワー室の床タイル目地補修とカビ除去清掃を実施しました。
(2025年7月施工、作業時間19:00~22:00の閉店後対応)
この記事では、浴室の床タイル補修作業とカビ取り清掃の手順、使用した専門材料や機材、現場で工夫したポイントを、実務経験にもとづき詳しく解説します。
「浴室 床タイル 補修」を検討している施設管理者の方や、プロの清掃・補修事例に興味のある方にとって、実践的な知識と現場目線のコツが得られる内容です。
施工依頼の背景とお問い合わせ内容
このエステサロンでは当社が定期清掃も担当しており、そのご縁からシャワー室のトラブルについてお問い合わせをいただきました。お問い合わせ内容は大きく3点です:
- 床タイル目地の補修依頼
シャワー室の床タイル目地を以前に黒く塗っていた部分が剥がれてしまい、美観が損なわれているので再度補修してほしい。
黒い目地が所々取れて白く下地が露出している状態でした。 - 壁面タイル周辺のカビ除去清掃
シャワー水栓が取り付けられている壁側のタイル目地を中心に、黒カビ汚れが広がっているため、タイル壁面全体のカビ除去をお願いしたい。
見たところ目地やシリコン部に黒ずみが目立っていました。 - タイルの凹み修繕の相談
床の一部にタイルの凹み(欠け)があり、水溜まりができてしまうとのことで、その改善方法を相談したい。
まずは現場の状況を正確に把握する必要があると判断し、担当スタッフである私は迅速に現地調査の日程を調整しました。
現場調査での確認事項と見積もり提案
お問い合わせを受けたのが7月11日で、先方のスケジュール調整後、7月17日に現場調査を行いました(施設の規定で作業申請と日程調整が必要だったため即日対応はできませんでした)。
現場調査では、上記の3点について以下のように状況確認と対応策の提案を行いました。
- 床タイル目地の剥離について
現地で床を見ると、やはり黒く塗っていた目地部分が所々剥がれて下地が露出していました。
水や清掃による摩耗で塗装目地が劣化したものと思われます。
そこで古い目地材を一度撤去し、新しい目地材で打ち直す補修工法をご提案しました。
単に塗り直すのではなく、エポキシ系目地材という業務用の高耐久材料で充填し直すことで、再発を防ぎ美観を長持ちさせる狙いです。
実際、エポキシ系目地材は吸水率が低くカビや汚れが染み込みにくいため浴室床に最適です。
黒い色のエポキシ目地材を用いることで、従来の黒い目地の見た目を復元しつつ耐久性を高める計画です。 - タイル壁面のカビ汚れについて
壁側のタイル目地やコーキングに黒カビが発生し、広範囲にわたって汚れているのを確認しました。
高湿度の浴室ではどうしてもカビが発生しやすい箇所です。
次亜塩素酸系(塩素系)のカビ除去洗浄剤を用いて徹底的に清掃すれば除去可能と判断し、カビ取り清掃作業をご提案しました。
塩素系漂白剤ベースの洗浄剤はタイル目地の頑固なカビに有効で、プロの現場でも頻用しています。
ただし臭気が強いため、後述するように換気や養生には注意が必要です。 - タイルの凹み(欠損)について
シャワー室床の一角にタイル自体の表面が凹んでいる箇所があり、調査したところ下地コンクリートの収縮かタイルの経年劣化によるひび割れが原因で欠けが発生していました。
お客様は部分的な充填修繕で直したいご希望でしたが、基礎からの問題であるためパテ埋め等の簡易修繕では再発する恐れがあることを説明しました。
その上で、確実に改善するには該当箇所のタイル張替え工事が必要になる旨をお伝えし、お見積もりを準備しました。
以上の提案内容を現場調査後にまとめ、当日中に見積書を作成してお客様に提出しました。
お見積り承諾と作業日程の調整
見積り提出後、お客様からは幸い床目地補修(①)とカビ除去清掃(②)を正式にご発注いただきました。
タイルの凹み部分の張替工事(③)については「現時点では見送るが、今回丁寧に相談に乗ってくれてありがとう。
今後ともよろしくお願いします」との温かいお言葉をいただき、今回は見積もりのみとなりました。
作業日程については、営業終了後の夜間作業をご希望でしたので、第一希望日と予備日の2日間でスケジュールを組むことにしました。
特にカビ除去作業は、一度の洗浄だけでは落ちきらない可能性が高く、つけ置き洗浄を複数回繰り返す必要があると予測されたためです。
事前に予備日まで申請・確保しておくことで、万一1日で完了しなくてもスムーズに二日目の作業に移行できます。
この段取りの良さもプロの現場対応として心がけている点です。
結果的に、予想どおり初日だけでは完全にカビ汚れを除去しきれず、翌日も追加作業を行うことになりました。
しかしあらかじめ余裕を持って計画していたおかげで、慌てることなく対応できました。
作業はいずれも閉店後の19:00~22:00で実施し、サロンの営業には支障を与えないよう配慮しています。
使用した材料・機材
今回の浴室床タイル補修とカビ除去にあたり、以下の材料・機材を使用しました。
- エポキシ系目地材(黒色・業務用)
二液を混合して使用する高強度の目地材です。
防水性・耐薬品性に優れ、浴室のような水場でも長期間黒い目地を維持できます。
メーカー名は特定できませんが、一般的な業務用エポキシ樹脂系目地材を採用しました。 - カビ除去剤(次亜塩素酸系洗浄剤)
塩素系漂白剤ベースの強力なカビ取り洗剤です。
黒カビの色素を分解・漂白し、菌糸まで殺菌できます。
市販のカビキラーに近い成分ですが、業務用は濃度が高いため取扱注意です。 - 電動ディスクグラインダー(目地カッター装着)
古い目地を切削して除去する電動工具です。
ダイヤモンドカッター刃で硬い目地材も効率よく削れます。
ただし火花と粉塵が出るので注意深い作業が必要になります。 - 集塵機(業務用掃除機)
グラインダーで削った粉塵をその場で吸引するために使用。
吸引しながら作業することで、粉塵の飛散や周囲汚染を防ぎます。 - 清掃用具各種
ブラシ、スポンジ、ウエス(布)、モップ、バケツなど。
カビ除去剤を塗布・洗浄する際や、目地材施工前の清掃に使用。
特にブラシは目地の奥の汚れをかき出すのに重宝しました。 - コテ(鏝)
目地材をタイル目地に充填する際に使う道具です。
小型のゴムコテや金ベラを使い、細かい目地にもしっかり材料を押し込みました。 - 保護具(手袋・ゴーグル・マスク)
塩素系薬剤を扱うためゴム手袋、ゴーグル、マスクを着用しました。
また換気のために送風機(ファン)も使用し、作業中は常に新鮮な空気を入れ替えるようにしました。
カビ除去作業の手順と現場での工夫
まず初日はカビ除去作業から取り掛かりました。
閉店後ということで周囲に人はいませんが、塩素系薬剤の強い臭気対策として、換気扇を最大に回し、入口ドアを開けて空気の流通を確保しました。
それでもこもりやすい浴室空間ですから、作業する私はマスクとゴーグルを着用し、安全に十分配慮しています。
〈カビ除去の主な手順〉
- 前処理清掃
カビ除去剤を効果的に行き渡らせるため、まず壁や床の表面に付着したほこり・石鹸カス等をブラシと中性洗剤で簡単に洗浄しました。
汚れの下にカビが隠れている場合があるため、この下地清掃は欠かせません。 - 薬剤塗布と浸け置き
次亜塩素酸系カビ取り剤をスプレーやスポンジでカビの発生箇所にまんべんなく塗布しました。
特に黒ずみが酷い目地には染み込ませるように念入りに塗ります。
塗布後は15~20分程度の浸け置き時間を取り、薬剤がカビの根まで行き渡るようにしました。
この間に私は床目地補修の準備(養生や機材準備)を並行して進めました。 - ブラッシングと洗浄
浸け置き後、ナイロンブラシでカビを擦り落とします。
長年蓄積したカビ汚れは一度では完全に落ちないため、力加減を調整しつつ根気よく擦りました。
壁面タイル目地の溝にもブラシの先を当て、黒い汚れが出なくなるまで繰り返します。
擦った後はシャワーで十分にすすぎ流し、薬剤と浮いた汚れを除去しました。 - 複数回の繰り返し
一通り作業した後、どうしても薄いシミのようなカビ跡が残る部分がありました。
想定内ではありましたが、一度では完全には消えません。
このため、薬剤塗布と浸け置き→洗浄のプロセスを何度か繰り返しました。
初日は時間内に2回実施しましたが、それでも頑固な箇所が若干残存。
予定していた通り翌日の予備日に持ち越しとしました。
翌日再度同じ工程を2~3回繰り返した結果、最後は新品同様の真っ白な目地面が蘇り、カビ汚れを完全に除去できました。
このように複数日に分けてじっくりカビを抜く判断を事前にしていたことで、結果的に隅々までカビを取り切ることができました。
焦って1日で済まそうとせず、余裕を持ったスケジュールを組んだのは正解でした。
現場では薬剤臭が強いので、私は作業中何度も休憩を挟んで新鮮な空気を吸うよう心がけました。
プロの現場でも自分の健康と安全確保が第一ですから、この点は強調しておきたいです。
床タイル目地補修の手順と仕上がり
カビ取り作業と並行して、床タイル目地の補修(黒色目地の再生)も順調に進めました。
こちらは主に2日目に集中して行い、エポキシ系目地材を用いてしっかりと施工しました。
以下に床タイル目地補修の手順を現場目線で詳しく解説します。
- 養生
まず作業エリア以外の床や壁が汚れないようにビニールシートとマスキングテープで養生しました。
特にシャワー室から通路へ出る部分は、人が通る可能性があるので二重にカバーしています。 - 清掃(下地処理)
補修箇所の周囲のタイル表面を中性洗剤とスポンジで拭き掃除し、ホコリや皮脂汚れを除去しました。
汚れたままだと新しい目地材の接着に悪影響を及ぼすため、この下地清掃は重要な工程です。 - 既存目地の切削・撤去
電動ディスクグラインダーに専用の目地カッター刃を装着し、劣化して剥がれていた古い目地部分を切削して除去しました。
火花が散らないよう慎重に作業しつつ、集塵機で粉塵を吸引しながら進行します。
削る深さはタイルの厚みの約2/3程度を目安に、奥までしっかり新材が入るスペースを確保しました。
狭い隙間は手作業でカッターを当てて除去しています。 - 清掃と乾燥
グラインダー作業後、撤去した粉塵や残留物を業務用掃除機で丁寧に吸い取り、さらに目地溝をブラシで掃いて細かな塵も除去しました。
エアダスターで飛ばす方法もありますが、水を使う場所のため最終的に乾拭きで処理しています。
目地溝が完全に乾燥していることを確認し、次の工程に移りました。 - 目地材の練り混ぜ
エポキシ系目地材の主剤と硬化剤を規定の比率で混合し、練り混ぜました。
気温や湿度に左右されないよう、現場の風通しを一時止めて配合と攪拌を実施。
適度な粘度(マヨネーズ状程度)になるまで混ぜ合わせ、作業しやすい状態に調整しました。
この混合は時間との勝負で、硬化が始まる前に素早く充填作業に入ります。 - 目地材の充填(押し込み)
練り上がったエポキシ目地材をコテ板に取り、小さなゴムコテやヘラで目地溝に押し込むように充填しました。
斜め45度の角度でコテを滑らせて、溝の中までしっかり材料を押し込みます。
気泡が入らないように何度か押さえつけ、隙間なく埋めていきました。 - 仕上げ均し
目地材を充填し終えたら、コテの平らな面で目地部分を軽く押さえ、タイル表面とほぼ面一になるように均しました。
はみ出した余分なモルタルは硬化前に除去する必要があります。
ここでは湿らせたスポンジでタイル表面を軽く拭き取りながら、目地の形を整えました。
ただし強く擦ると目地が抉れてしまうので、スポンジは優しく当てる程度に留めています。 - 養生乾燥
エポキシ目地材は初期硬化まで3~4時間ほどかかります。
作業終了後は換気を再開しつつ、誰も触れないようにシャワー室を閉鎖しました。
「完全硬化する翌日昼までは通水・歩行禁止」と注意書きを掲示し、スタッフの方にも伝達しました。
エポキシは硬化が進むと多少発熱もするため、夜間の間しっかり硬化させます。
翌日昼には石のように硬い目地となり、施工完了です。
以上が床タイル目地補修の手順です。
実際の現場では一つ一つの工程ごとに確認を怠らず進めました。
最終的にはムラのない綺麗な黒色目地が復活し、タイル床が新品時のように引き締まった印象になりました。
エポキシ系目地材のおかげで耐水・耐カビ性能も向上しており、今後しばらくは剥離や変色の心配もないでしょう。
作業後の確認・後片付けと留意点
目地充填作業とカビ除去作業ともに所定の工程を終えた後、施工箇所のセルフチェックを入念に行いました。
床の目地に埋め残しや気泡による隙間がないか、タイル表面に目地材のはみ出しが付着していないか、照明を当てて細かく確認します。
また壁面のカビについても、見落としがないか一枚一枚のタイル目地を目視点検し、必要に応じてアルコール除菌剤で拭き上げて仕上げました。
問題がないことを確認できたら、工具や養生の撤去、清掃に入ります。
粉塵養生に使ったマスカーやテープ類を全て回収し、持ち込んだ機材を片付けました。
床に飛散した微細なホコリもモップと掃除機で丁寧に清掃し、施工前よりもきれいな状態にして撤収するのがポリシーです。
閉店後の作業で店舗スタッフの方は不在でしたので、退出時には照明の消灯や空調(AC)の電源オフなど設備の最終確認を特に慎重に行いました。
鍵の施錠も含め、我々が最後の退出者として責任を持って確認します。
現場責任者である私は習慣としてチェックリストを用意しており、「照明OFF良し、空調OFF良し、窓施錠良し…」という具合に一つずつ確認していきました。
この日の作業も問題なく全ての確認項目をクリアし、最後に施設の退館手続きを済ませて作業完了となりました。
現場で工夫した点・印象に残ったこと
今回の施工では、プロの業者ならではの工夫や気づきがいくつかありました。
その中でも特に印象に残ったポイントをご紹介します。
- 臭気対策と安全確保
塩素系カビ取り剤の強烈な臭いに対し、現場では換気扇のフル稼働に加え扇風機で強制換気を行いました。
それでも密閉空間ではツンとした塩素臭が残るため、作業者自身が長時間吸い込まない工夫が必要です。
私はこまめに休憩を取りつつマスクを二重にするなどして対応しました。
安全のためゴーグルと手袋も必須で、薬剤が肌や目に飛ばないよう徹底しています。
臭気対策と安全管理の徹底は、現場作業で常に意識している点です。 - 作業工程の段取り
カビ除去と目地補修という異なる作業を並行して行うにあたり、薬剤の浸け置き時間を有効活用するよう段取りしました。
例えば、カビ取り剤を塗って反応を待つ間に目地カット作業を進めることで、時間を無駄にせず効率化できました。
ただし焦って両方一気に進めすぎると管理が疎かになるため、進行状況をメモしてタイマーを使うなど細心の注意を払いました。
結果として両作業を2日間で無事完了させることができ、計画通りの段取りが奏功したと感じました。 - 2日目施工の見極め
現場調査時点で「これは1日では終わらない」と判断し予備日を確保した判断力も功を奏しました。
実際、初日の段階でカビの跡が微かに残った際も、「やはり予備日を取っておいて正解だった」と実感。
プロとして、お客様に完璧な仕上がりを提供するには、自らの経験に基づいて必要な日数や工程を見極めることが重要です。
無理に1日で終わらせていたら不十分な結果になっていたでしょう。
このケースでは事前の見立て通り2日目に持ち越して正解でした。 - 深夜作業の心構え
閉店後の作業では、我々が店舗を預かる責任があります。
施錠・消灯は当然ですが、例えば電源ブレーカーや水の元栓など普段触らない部分にも目を配ります。
以前、別の現場で換気扇をつけっぱなしにしてしまったことがあり、それ以来「最後の退出者チェックリスト」を作ってミス防止に努めています。
今回もその教訓を活かし、落ち着いて最終確認を完了できました。
プロの現場だからこそ、小さな気配りや心構えが信頼に繋がると改めて感じました。
以上のような工夫や所感を得た現場でした。
経験を重ねるごとに学びも増えていきますが、一つ一つの現場で得た知見を次につなげることが、プロとして成長する上で大切だと痛感しています。
まとめ:施工を通じて得られた学び
本記事では、埼玉県のエステサロン・シャワー室における浴室床タイル補修・カビ除去清掃の工程を、現場目線で詳しく解説しました。床タイル目地の剥がれに対してエポキシ系目地材による再補修を行い、壁面の黒カビ汚れは次亜塩素酸系洗浄剤で徹底除去することで、美観と衛生を取り戻した施工事例です。
今回の施工を通じて改めて実感したのは、事前調査と計画立案の重要性です。
現地調査で状況を正確に把握し、必要に応じて十分な作業日数を確保することで、結果的に高品質な仕上がりを実現できました。
また、適材適所の材料選定も鍵となります。
エポキシ系目地材の採用により耐久性の高い目地補修が可能となり、強力なカビ取り剤の使用で衛生面でも万全の結果を出せました。
これらはプロならではの判断ですが、同時に現場での丁寧な作業と安全管理があってこそ生きるものです。
最後に、浴室やシャワー室のような水回り施設では、定期的なメンテナンスと早めの補修対応が施設の美観と衛生を保つ秘訣だと感じました。
タイル目地の劣化やカビの放置は滑りやすさや悪臭にも繋がりますが、プロによる適切な施工でそれらの問題は確実に解決できます。
今回得られた知見を今後の現場にも活かしつつ、引き続きお客様に安心していただける施工サービスを提供していきたいと思います。