マンション空室清掃事例 – 汚れた相続物件を売却前に徹底清掃

2025/10/03

東京都内マンション空室清掃事例 –汚れた相続物件を売却前に徹底清掃

東京都内のマンション空室にて、相続物件の空室清掃を実施しました。
ご依頼の背景は、オーナー様のご兄弟が亡くなられ、残されたお部屋を売却するにあたりプロによる徹底清掃を希望されたためです。
長期間人が住まず放置されていたことで室内は酷く汚れており、特にカビやホコリが蓄積した状態でした。

この記事では、現場目線で清掃の手順や使用機材、洗剤の選定、そして頑固な汚れへの対処法などを詳しく解説します。
長年放置された部屋をどのように再生し、床や設備をまるで新築のように蘇らせたのか、プロ清掃ならではの工夫やポイントにも触れます。
不動産管理会社・マンションオーナー・相続物件の管理者の方で、同様のケースにお悩みの方にとって参考になるマンション清掃の施工事例です。

現場の状況とご依頼内容

今回清掃を行ったのは、広さ78.5㎡ほどのファミリータイプのマンション空室です。
ご依頼者様(物件の管理者)は、故人の遺品整理を専門業者に依頼した後、本格的なハウスクリーニングで室内を一新したいと希望されていました。
依頼時に「レンジフードの分解洗浄までは不要」「浴槽エプロン内部の清掃も不要」「ベランダ清掃も不要」とのご要望があり、作業範囲を調整しています。
エアコンについては室内機フィルター清掃のみ行う方針で、後日現地確認の結果3台すべて対応いたしました。
作業当日は9:00~18:00の丸一日をかけ、念入りに清掃を実施しています。

清掃前の室内は、各所に長年の汚れが堆積し非常に厳しい状態でした。
入室した瞬間、私も思わず言葉を失うほどで、カビ臭さと汚染状況から孤独死現場に近い印象すら受けました。
主な汚れの状況は以下の通りです。

  • キッチン:本来は白いシステムキッチンですが、扉や壁面には茶色い油汚れの垂れ跡が全面にこびりつき、所々に黒カビも発生していました。

  • 洗面所・廊下の床:フローリング表面が黒カビで覆われ、踏み板が黒ずんでいる状態でした。

  • 浴室:グレーだった床タイルが一面真っ黒なカビ汚れに覆われていました。
    特に鏡横のシャワーホース付近では、床だけでなく備え付けの白い台(シャンプー置き場)もカビだらけです。
    台の天板は赤茶色に変色しており、おそらくカビと一緒に金属製品からの錆汚れも付着していました。

  • 居室(一部屋目・フローリング):床に四角い黒い汚れが盛り上がって固着していました。
    何か家具か荷物を長期間置いていた跡と見られ、通常の掃き掃除では歯が立たない状態でした。

  • 居室(二部屋目・和室):畳の表面がうっすらと灰色がかり、ホコリと汚れが積もっていました。
    畳特有の青畳の色味が失われていました。

  • トイレ:床一面がカビで真っ黒になり、便器の脚元まで汚染されています。
    壁の下部にも尿の飛び散りによる黄ばみ汚れとカビが広範囲に見られ、不衛生な状態でした。

  • 玄関・洗面所床:白い大理石調の床材ですが、汚れでグレーにくすみ、本来の光沢が失われていました。

なお、フローリング床には元々深い傷が数カ所ありましたが、これらは清掃では消せないため原状では残る見込みです。
こうした物理的なダメージを除けば、「汚れはすべて落とす」ことを目標に作業に取り組みました。

清掃作業の流れ

現地に到着後、まず全ての窓を開放し換気してから、防塵マスクとゴム手袋を着用しました。
長期間閉め切られホコリカビが充満した空間では、作業者の安全確保と二次汚染防止のため、最初に十分な換気と防護策を取ることが重要です。
また効率よく汚れを除去するため、私は「高い所から低い所へ」「奥の部屋から手前の玄関へ」という基本に沿って清掃を進める方針を立てました。
以下に、主な清掃工程を順を追って説明します。

  1. 事前準備と安全対策
    窓を全開にして空気の入れ替えを行い、清掃中は常に換気しました。
    同時に床や壁が洗剤で傷まないよう、必要に応じて養生シートで保護しました。

  2. キッチン清掃(油汚れ・カビ除去)
    キッチンには頑固な油汚れが堆積していたため、業務用の強力な油分解洗剤を吹き付けしばらく浸透させました。
    その後、ヘラとスポンジを使ってこびりついた汚れを削ぎ落とし、壁面やレンジフード表面のベタつきを徹底的に拭き上げました。
    合わせてシンクや蛇口まわりの水垢も専用クリーナーで磨き、キッチン全体をピカピカに蘇らせました。

  3. 洗面所・廊下のカビ清掃
    洗面ボウルやカウンター、床の黒カビにはカビ取り用の塩素系洗剤を散布しました。
    換気を最大にしつつブラシで擦り洗いし、カビを根から除去しました。
    廊下フローリングも丁寧に拭き掃除し、洗剤拭き取り後にアルコール除菌を行いました。

  4. 浴室の徹底洗浄
    浴室はカビ取りのハードな工程です。
    床全体にカビ取り剤を塗布し、特に黒カビが酷かった箇所には何度か薬剤を重ねて浸透させました。
    ブラシで目地や滑り止め面を丹念に擦り、黒ずみを消していきます。
    鏡横の白い台はカビと錆汚れで赤黒く変色していましたが、カビ取り剤と錆除去剤を使い分けて清掃しました。
    最後に浴室全体を除菌剤で拭き上げ、清潔に仕上げました。

  5. トイレ清掃
    特に衛生面で注意が必要な箇所です。
    床の黒カビと汚れには浴室同様にカビ取り剤を使用し、ヘラで削り落としました。
    便器周りの尿石汚れには酸性洗剤を使用し、壁の黄ばみも中性洗剤とスポンジで拭き上げました。
    便器内部も漂白剤でしっかりと洗浄・消毒し、トイレ全体を清潔な状態に戻しました。

  6. 各部屋の床清掃とワックス仕上げ
    居室のフローリングはまず掃き掃除と拭き掃除でホコリや汚れを除去しました。
    一部屋目の固着した黒い汚れはヘラと洗剤で時間をかけて除去し、床材を傷めないよう慎重に作業しています。
    全ての床清掃後、フローリングには保護と艶出しのためワックスを二層塗布しました。
    これにより床面は美しい光沢を取り戻し、傷んでいた表面も保護コーティングされています。
    畳の部屋は畳専用の洗剤拭きと乾拭きで清掃し、ダニ予防の薬剤を散布しました。

  7. エアコン3台のフィルター清掃
    各部屋に設置されたエアコンのフィルターを取り外し、屋外でブラシと水洗いを行いました。
    フィルターに積もったホコリを落とし、カビの付着がないか念入りに確認しました。
    乾燥させた後、元に戻して動作確認も実施しました。

  8. 最終確認と仕上げ
    全ての清掃工程完了後、部屋全体を改めて点検しました。見落としがちな照明スイッチやドアノブの手垢もアルコールで拭き取り、玄関ドアも内外を清掃しました。
    最後に消臭剤を炊いて室内の臭いをリセットし、十分に換気して作業を終了しました。

清掃後の状態と結果

丸一日かけた清掃の結果、室内は見違えるほど綺麗になりました。
キッチンは本来の白さを取り戻し、茶色かった扉や壁面の汚れは一切残っていません。
浴室も黒カビが根こそぎ除去され、鏡横の白い台も新品のように真っ白です。
トイレの床や壁の汚れも完全に落ち、不快な臭いも消え去りました。
玄関や洗面所の床は本来の明るい色味になり、各所に施した除菌・消臭により空気も爽やかです。

特に効果を実感したのはフローリング床の輝きです。
清掃前は埃と黒ずみで艶を失っていた床が、ワックス仕上げによってピカピカの光沢を放つようになりました。
深い傷については完全には消せなかったものの、汚れが除去されたことで目立ちにくくなっています。
お部屋全体が明るく清潔になったことで、まるでリフォームした直後のような印象を受けます。
ご依頼者様にも「ツヤツヤの床を見て驚いた、新築みたいだ」と大変喜んでいただけました。

今回の清掃により、このマンションは安心して売りに出せる状態に蘇りました。
見た目の美しさだけでなく、カビや細菌を除去したことで衛生面でも安全な空間になっています。
長く放置され汚れが蓄積した物件でも、適切な方法で清掃を行えばここまで改善できるということを現場で実感しました。

まとめ

本記事では、東京都内マンションの空室清掃事例を現場の視点から詳細にご紹介しました。
ご兄弟の死去に伴い長期間放置されたお部屋を売却前にプロが清掃し、頑固な汚れやカビだらけの空間を見違えるほど綺麗に再生できた様子をご理解いただけたかと思います。

実際の現場では、市販の洗剤や素人の掃除だけでは太刀打ちできない黒カビやこびりついた汚れが数多くありましたが、経験豊富な清掃のプロが適切な薬剤と技術で対応することで、安全かつ確実に汚染を除去できます。
本ケースのような相続物件の清掃や孤独死に近い現場の清掃では、衛生管理や臭い対策の観点からも、プロによる徹底清掃が不可欠です。

私自身、この作業を通じて改めて清掃技術の大切さと奥深さを学びました。
ただ見た目を綺麗にするだけでなく、そこに住む人の安心・安全を守る仕事であると実感しています。
今後も培ったノウハウを活かし、どんな汚れた現場でも責任を持ってピカピカにしていきたいと思います。

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