東京都認可保育園での天吊りエアコン水漏れトラブル対応事例
東京都内の認可保育園にて、2歳児クラス保育室の天吊りエアコン水漏れトラブル対応を行いました。
この記事では、床や室内を濡らすエアコンの水漏れを、現場でどのように原因特定し対策したかをプロの清掃・設備業者の視点で詳しく解説します。
保育園など施設の空調トラブルにお悩みの施設長や先生の方々にとって、実践的な解決事例として参考になる内容です。
背景:複数の不具合への対応と緊急依頼
この保育園を運営するクライアント様は、複数の保育園施設を管理しており、各拠点でさまざまな設備不具合が発生していました。
限られた予算の中で優先順位を決めて対応する必要があり、私たちはまず6月に施設の現地調査を実施しました。
その結果、以下の5点の修繕・工事をご提案していたところです。
- クローゼットの金具破損修繕
- 洗面台の水栓ぐらつき修繕
- 換気扇故障の更新工事
- 引き戸錠の交換修繕
- 床材の張替え工事
こうした計画を立てている最中の6月26日、同園より緊急の依頼が入りました。
「2歳児保育室の天吊りエアコン1台で水漏れが発生している」とのご連絡で、至急対応してほしいとのことでした。
園児の安全と保育環境を守るため、水漏れは放置できない重大なトラブルです。
私たちは直ちに日程を調整し、まず応急的にでも水漏れを止めることを最優先に現場対応することにしました。
水漏れ調査
7月2日、担当スタッフが現場に駆けつけ、問題のエアコンの状況を確認しました。
天井に吊り下げられた業務用エアコンから滴る水が、2歳児保育室の床に落ちているのを見て、想像以上にしっかりとした水漏れが起きていることがわかりました。
冷房運転中の結露水が通常通り排出されずに室内機から溢れている状態で、少量の結露やドレンパンのひび割れなどが原因の「ポタポタ程度」ではなく、排水不良による漏水だと判断しました。
この時点で私たちは、水漏れの原因として最も疑わしいのはドレン管の詰まりだと考えました。
エアコン内部で発生する結露水は、通常ドレン管(細いホース状の排水配管)を通って屋外へ排出されます。
保育園のように長期間使われているエアコンでは、ホコリや汚れ、カビなどがドレン管内部に蓄積し、排水経路を塞いでしまうことがよくあります。
特に梅雨時や夏場は冷房による結露水量も多く、詰まりがあると途端に水漏れが起こるため、まずドレン管詰まりを疑うのはプロの定石です。
現場でも「まずはドレン管の清掃をしてみよう」という方針で調査と作業を開始しました。
ドレン管調査と対策
当初計画していた通り、エアコン室内機側からドレン配管内部の吸引清掃(バキュームクリーナーなどでホース内部の詰まりを吸い出す作業)を実施しました。
これは室内機に接続されたドレンホースの端に専用ポンプや強力な掃除機を当て、ホース内の汚泥や詰まりを取り除く方法です。
実際、過去の現場でもこの方法で排水不良が改善し、水漏れが止まるケースは多々あります。
しかし今回のケースでは、吸引清掃を行った後もエアコンからの水漏れが止まりませんでした。
予想に反してドレン管内部の簡易清掃だけでは改善せず、原因が別にある可能性が高まりました。
正直、この時点では原因が他にあるとわかり、少し焦りました。
しかし、「エアコン本体から手の届く範囲より先の部分で詰まりが起きているのではないか」と考え直し、さらに原因を探ることにしました。
ドレン管の最終確認
ドレン管の出口付近で詰まっていれば排水が行き場を失って逆流しますので、次にドレン管の排水経路をたどることにしました。
対象エアコンのドレン管は室内機から天井裏を通って建物外部へ伸びており、最終的に屋外の地面下に排水される設計でした。
そこで園の敷地周辺を確認しましたが、ドレンホースの明確な排出口は見当たりません。
地中に配管されているため、直接目視で出口を確認することはできない状況でした。
排水口が土中にある場合、例えば先端が土に埋もれていたり、水たまりに浸かっていたりすると、ホース内の水がうまく流れず逆流して室内機から漏れることがあります。
また配管の途中にある曲がり角(エルボ部分)で汚れが滞留し、詰まりの原因になることも多いです。
今回の現場では、図面がない中で配管経路を推測し、ドレン管の形状から「おそらくR字カーブになっている箇所で詰まっているのではないか」と判断しました。
経験上、屋外へ出る直前の曲がり部分はゴミが溜まりやすい箇所です。
ドレン管の切断作業
詰まりの所在地に目星を付けたとはいえ、地中の配管全てを掘り起こすわけにはいきません。
そこで私たちは現場判断で、そのR部の直上にあたる配管箇所を一度切断し、中の詰まりを除去する作業に踏み切りました。
通常はあまり行わない手段ですが、緊急対応として水漏れを止めるにはやむを得ません。
幸い、切断した箇所からは勢いよく水が排出され、溜まっていた結露水が一気に流れ出ました。
この瞬間、水漏れがピタリと収まり、園の先生方もホッとされた様子でした。
その光景に、私たちも現場で安堵したのを覚えています。
切断箇所から確認できたのは、ドレン管内部に詰まっていた汚れやヌメリが塊となっていたことです。
その塊が曲がっている箇所(R部)に引っかかり、完全に排水を塞いでいたのが原因でした。
私たちは除去後に配管を新しい継手で接続し直し、排水ラインを復旧させました。
作業後は再度水を流してテストを行い、問題なく排水できることを確認しています。
まとめ
今回の事例では、保育園の天吊りエアコンから発生した水漏れトラブルについて、原因究明から応急処置、本格的な対策まで現場の視点で詳しくご紹介しました。
結果として、エアコン本体の故障ではなくドレン配管の設置状況に起因する水漏れであり、詰まりを取り除くことで無事に解決できました。
園児たちが過ごす保育室という環境上、迅速に対応し被害を最小限に抑えられたことは大きな収穫です。
この経験から学んだのは、エアコンの水漏れ対策には定期的な点検と清掃が不可欠だということです。
特に保育園のように日常的にエアコンを使用する施設では、ドレン管の詰まりはいつ起きても不思議ではありません。
プロによる定期メンテナンスで汚れを事前に除去し、排水経路を確保しておくことで、大切な保育環境を水漏れトラブルから守ることができます。
施設管理者の方はぜひ今回の施工事例を参考に、日頃の設備チェックと早めの対策検討にお役立てください。