古着ショップ手すりの錆び補修・塗装作業レポート
2025年6月、東京都内の古着ショップにて、店内階段の手すり塗装 補修(錆びた部分の塗り直し)を実施しました。
この記事では、錆びた手すりをプロがどのように補修・塗装し直したか、その具体的な手順や使用材料、現場での工夫を詳しく解説します。
作業前の準備から仕上げまで現場目線で紹介することで、小売店舗オーナーや管理者の方が店舗の手すりや鉄部のメンテナンスを行う際の参考になる施工事例となれば幸いです。
施工準備・養生
施工は店舗の営業終了後、21時30分から24時にかけて行いました。
深夜の作業とすることで、お客様や店舗業務への影響を避け、安全に作業できます。
まず、塗装に必要な施工用具を一通り準備しました。
サンドペーパーやワイヤーブラシといったケレン用具、マスキングテープと養生シート(塗料飛散防止用)、刷毛・ローラー、ウエス(布きれ)、手袋、脚立、塗料(上塗り塗料)、ラッカーシンナー(脱脂用)、そして防錆用プライマーなどを忘れずに揃えます。
次に、作業箇所以外を汚さないように養生を徹底しました。
階段手すりの周囲50cmほどの床や壁は養生シートでしっかり保護し、反対側の壁面や商品ディスプレイ側にはビニールシートを張って塗料ミストが店内に飛び散らないよう工夫しています。
また、塗装する手すり表面のホコリや汚れは事前にウエスで拭き取り、中性洗剤で丁寧に清掃しました。
手油や古いワックスなど油分が付着している場合は、塗料の密着を良くするためにシンナーで脱脂処理も行っています。
また、室内での塗装作業となるため、塗料やシンナーの臭いが店内にこもらないよう、適切に換気を行う配慮も欠かしませんでした。
下地処理(ケレン作業)
十分な養生と清掃が完了したら、いよいよ塗装前の下地処理に入ります。
錆びて塗膜が剥がれかけている箇所や、古い塗膜が浮いている部分を中心に、サンドペーパーやワイヤーブラシを使ってケレン作業を行いました。
ケレンとは金属表面のサビや旧塗膜を削り落として下地を整える作業で、仕上がりの品質を左右する重要な工程です。
手すり全体をくまなくチェックし、錆びが発生している部分は丹念に磨いていきます。
特に手すり上部の錆びた部分は念入りに研磨し、浮いている塗膜や脆くなった箇所を完全に除去しました。
ケレン作業後は、ブロワーやウエスを使って鉄粉や塗膜の削りカスなど粉塵をきれいに取り除きます。
この粉塵除去を怠ると、後から塗る塗料がうまく密着せず、仕上がりにムラが出たり剥がれの原因となるため、プロの現場では見落としません。
下塗り(防錆プライマー塗布)
下地処理が終わった金属面は、素地が露出して非常にデリケートな状態です。
このままでは再び錆びが発生しやすいため、下塗りとして防錆効果のあるプライマーを塗布します。
今回はエポキシ系の防錆プライマーを使用しました。
刷毛を使い、手すりの金属表面に薄くムラなく塗り広げていきます。
細い手すり支柱部分や隙間も見落とさないよう丁寧に下塗りしました。
プライマー塗布後は指定の乾燥時間を守り、しっかりと乾かします。
メーカー推奨では1〜2時間程度の乾燥が必要とされていましたが、当日は湿度も低かったため約1時間強で下塗りが安定しました。
乾燥が不十分だと上塗り塗料がうまく密着しないため、時間に余裕をもって確実に乾かすことがポイントです。
上塗り塗装(仕上げ塗装)
プライマーが十分乾燥したのを確認したら、いよいよ仕上げの上塗り塗装に移ります。
今回は手すりの上部(笠木)の色を元の白色から茶色(ブラウン)へと一新し、細い手すり支柱部分は引き続き白色塗装で仕上げることになりました。
これは店舗デザインに合わせたオーナー様のご希望で、空間の雰囲気にマッチした落ち着いたブラウンを選定しています。
上塗り塗料を刷毛と小型ローラーで丁寧に塗布しました。
広い面や長い直線部分はローラーを使うことで均一に塗れ、細かな箇所や縁の部分は刷毛で細部まで行き渡らせます.
1回目の上塗りが完了したら、再度塗料缶に記載の乾燥時間だけ待ち、塗膜が硬化するのを待ちます。
約30〜40分後、塗料の表面が指で触れても跡がつかない程度に乾いたのを確認してから、2回目の上塗りを実施しました。
二度塗りすることで発色が良くなり、塗膜の厚みも増して耐久性が向上します。
最終的に全体の塗りムラや垂れ(垂れた塗料の滴)の有無を入念にチェックし、気になる箇所は刷毛で軽く補修塗りして仕上げました。
塗料が完全に乾くまで養生シートはそのままにし、翌朝、店舗スタッフの方と最終確認を行って問題がないことを見届けてから養生を撤去しています。
使用した材料・道具
- ケレン用具(サンドペーパー、ワイヤーブラシ 等)
- 養生資材(マスキングテープ、養生シート、ビニールシート)
- 清掃用具(ウエス、中性洗剤)
- 脱脂剤(ラッカーシンナー)
- 防錆下塗り剤(エポキシ系プライマー)
- 上塗り塗料(ブラウン、ホワイト)
- 塗装用具(刷毛、ローラー)
- その他安全用具(手袋、脚立 など)
まとめ
本記事では、古着ショップ店内階段の手すりに生じた錆びの補修と塗装の工程を、プロの施工手順にならって紹介しました。
店舗の手すり錆び補修・塗装を適切に行うことで、安全面の向上だけでなく見た目の美観も蘇り、お店全体の印象改善につながります。
実際の現場では、丁寧な養生や下地処理、防錆プライマーの使用など、一つひとつの工程を確実に行うことが高品質な仕上がりの鍵となりました。
また、今回のように店舗営業後の夜間に作業を行えば、お客様に迷惑をかけずに施工できることも分かりました。
結果として、錆びていた手すりは新品同様の見栄えとなり、オーナー様にも大変喜んでいただけました。
この施工事例から学べるように、店舗の鉄部に錆びを見つけた際は早めに対処し、プロの適切な補修・塗装を行うことで、什器備品の寿命を延ばし安全性を維持できると言えます。
店舗手すりの錆びは放置すると進行して構造的な危険を招く場合もありますが、本記事の内容がお店のメンテナンス計画の参考になれば幸いです。
私たち施工者としても、錆びだらけだった手すりが新品のように蘇った様子を見て、大きな達成感を得られました。